「舞いあがれ 東大阪」メッセージ


MAIAGARE
HIGASHIOSAKA
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山畑 阿登視さん
瓢箪山稲荷神社
宮司
宮司を務める山畑 阿登視(やまはた あとみ)さん。
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山畑 阿登視さん
瓢箪山稲荷神社
宮司
宮司を務める山畑 阿登視(やまはた あとみ)さん。
駅前の街並みを見守るように鎮座する瓢箪山稲荷神社(ひょうたんやまいなりじんじゃ)は、境内に一歩足を踏み入れると、にぎやかな商店街のそばにあるとは思えないほど、凛(りん)とした空気を放っている。本殿は、地名と神社名の由来でもある「瓢箪山古墳」の上に建ち、たいへん珍しい。見上げると、南側の鬼塚、北側の大塚という二つの丘からなる双円墳が、まさに瓢箪の形状をしていることが分かる。
社伝によると、創建は大坂城が築城した天正11(1583)年。「大坂城から巽(南東)の方向三里(約12キロメートル)の場所に、豊臣秀吉公が自身の馬印であるひょうたん型の山があることに着目し、伏見城で祀られていた“ふくべ稲荷”をご分霊し、金瓢とともにこの地に鎮め祀ったのが始まり」という。
諸説あるものの日本三稲荷のひとつともいわれており、「稲荷信仰にはいろいろな形式があって、特に商売繁盛や縁結びのご利益で知られています。うちがお祀りしている『保食大神(うけもちのおおかみ)』は食べ物を司る神様で、これらのご利益だけでなく、人々の暮らしを見守り、豊かにしてくださる神様です。もちろん商売をしていない人もご利益を授かれますよ」。
この霊験あらたかな場所を、「どんどん実をつける“千成瓢箪”のように末永い繁栄を祈願しながら、心静かにお参りできる場所です」とも語る。
天下人となった豊臣家と、大坂城や街を守る鎮護神としての成り立ちがあるこの神社が、全国で広く知られるようになったのは、幕末期以降に流行した「辻占(つじうら)」の影響が大きいという。
現代に伝わる辻占とは、占い客自身が「占場(うらば)」と呼ばれる辻に立ち、街道を行き交う人を観察した内容を宮司に伝え、それにより吉兆を占うもの。万葉集にも詠まれた「夕占(ゆうけ)」が起源とされ、ここ瓢箪山稲荷神社で、現在の「辻占」の手法が体系づけられたという。
江戸時代に堂島の米相場を占ったり、今なお続く歴史のある商家の行く末を占ったり、ご神託によって商売繁盛へつながったエピソードなどが数多く伝わっている。そんな評判が広まり、多くの人が詣でるようになった。
通行人を観察して吉兆を占う「辻占判断」のほかに、全国的に有名なのが、現在も神社で授かることができる「辻占おみくじ」(400円)だ。線香の火をあてて占う「やきぬき」、ろうそくの火で文字が浮かび上がる「あぶりだし」、そして通常のおみくじの 3 種類が同封されている。
土地を守護する神様にあやかってご利益を授かるのも、ユニークな手法の辻占で自分の運勢を知るのも、どちらもきっと特別な体験となるだろう。今なおあちこちに残る歴史の息吹を感じながら、心静かにお参りしてみてはいかがだろうか。
DATA
稲荷信仰と独特な“辻占”で有名な
歴史が息づく静謐な空間